2015年1月25日、熊本で開催されました「地方創生フォーラム」において、自治公民館長 豊重哲郎が「やねだん」の取組みを事例紹介しました。
「地域創生フォーラム」
日程:2015年1月25日
会場:熊本ホテルキャッスル
主催:内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局
プログラム
●来賓挨拶 蒲島郁夫 熊本県知事
●講演:「地域創生について」石破茂 地方創生担当大臣
●事例紹介 プレゼンター 豊重哲郎(柳谷集落自治公民館長) 他
左から蒲島熊本県知事、豊重哲郎、石破茂地方創生担当大臣
フォーラム出席者によるレポート
※このレポートは、フォーラムの一出席者の善意で掲載に協力していただいています。 内容の抜け等あるかもしれませんが、ご了承ください。
1 講演:「地域創生について」石破茂 地方創生担当大臣
・地方創生において、注意してもらわないといけないこととは、
①総力戦で取り組むこと。日本には時間がない。
②「できません。なぜならば・・・」という理屈は排除する。特に霞ヶ関において。
地方からの声に対して、「一緒に考えよう。」という姿勢でなければならない。
地方が下ではない。主役は市町村であり、民間の創意工夫が必要。
・これまで、地方を元気する政府の取組みがあった。選挙のとき、地方を元気にしますと言わない政治家はいない。 それなのに、地方は元気なっていない。
・田中内閣のとき「日本列島改造論」、大平内閣のとき「田園都市構想」、竹下内閣のとき「ふるさと創生1億円」。今回は何が違うのか。
①危機感が違う。
地方創生は日本創生である。官と民。地方と中央の関係を根本から変える。今度、失敗すれば、この国の将来は厳しい。
②主役は市町村、コーディネートは都道府県。政府は財政、情報等の面でバクアップする。
③住民は主権者であるが、行政サービスの受益者の意識がつよかったのではないか。
このため、産・官・学・金・労・言の参加によるPDCAを広めていく。
「産」は民間である。「金」は金融であり、中央政府からのお金が途絶えたら地方創生が終わるということではなく、
地方活動の経営面での判断力を金融機関に発揮してもらう。
「労」は労働組合。民主党の支持母体に媚びをうるのではない。
地方創生において、働き方をどう変えていくか考えなければならないからである。男性が家事をする時間が長いほど、
第二子の生まれる確率が高くなるという。今後、テレワークの導入や、女性の働き方が変わるにはどうするか考えなければならない。
また、「転勤」というものを考えなければならない。40代から50代で、いきなり単身赴任となり、家庭から離れることとなる。
地域限定の転勤をしても正社員の身分が守れる仕組みも必要と考える。
「言」は言論であり、マスコミが地域の情報をよく知っている。地域の情報発信力を活かしてもらう。
PDCAのうち、問題は「C」である。check機能の主体は「議会」であるが、問題なく予算が執行されているかではなく、
政策が実現できたかを議会と住民が合わせてcheckできるようにしなければならない。
よく「バラマキ」と言われることがあるが、「バラマキ」は政策目標が実現したかどうかをcheckしないからである。
Checkすることで、新しい「A」や「P」が生まれる。
KPI(Key Performance Indicator:目標に向かって日々業務を進めるにあたり、 進捗を表す最適な指標のこと)。
何を実行しようとしているのか、設定することが必要だ。
かつて、にぎやかな地方都市があった。農山漁村も元気だった。公共事業と企業誘致 ができたから。
いま、地方の工業団地では空地ばかりである。
これから、同じものを多量につくることを日本でやってはいけない。
今やお客様は海 外にあり、同じ規格のものであれば、自国で生産した方が安いから。
今こそ、農林水産業の潜在力を発揮するとき。
都道府県により出生率が大きくことなる(東京が最低1.13)理由があるはず。
増田さんの著書「地方消滅」で、将来の20~30代の女性の人口をもとに、自治体 の存続を推測されている。
地方において、高齢者がいきなり減少するときがくる。
地方で介護・福祉関係の仕事 をしている若者が、高齢者が多い東京へ集まることとなる。
海外とつながることも重要。
外国人にもっと、地方に来てもらい、宿泊してもらうことも必要。
外国人旅行者は日本人旅行者の3倍お金をつかう。
対内直接投資(海外企業による日本企業に対する直接投資)残高は、なんと日本は19 6か国中196位である。
いかに日本への投資がすくないかわかる。
まち・ひと・しごと創生は、
・国が今後5年間の目標を設定し、
・すべての市町村が5年間の総合戦略をつくることとしている。
・国は情報を出す、財政支援する。
地域を変えるには一人一人が何をするかだ。
補助金にたよらない「やねだん」に行ってみて実感した。
行政は何ができるのか、改めて考えさせられた。
決して金だけで振興はできない。
「自信」と「笑顔」が必要だ。
熊本県知事がいう「幸せ実感」とはどういうものなのだろうか。
地方の自立は国家の自立。
2 事例紹介 プレゼンター 豊重哲郎(柳谷集落自治公民館長)
・土台づくりから始まって20年目を迎えた。
・人を動かのは、金ではない。フルネームで呼ぶこと、笑顔、快話である。
・地域活動に補欠はいない。
・リーダーには勇気と度胸が必要。 ・感動と感謝で人は動く。
・目配り気配り手配り ・財務を語るリーダーが必要。人を大切にし、一円を大切にすること。
・やねだんは企業化している。 1年間の収入5~6百万円。6,000万円の生産活動 をしている。6つの部のひとつひとつに毎年30万円交付している。
・やねだんの活性化には、まず、ぶた7000頭、牛500頭の糞尿の悪臭を改善し、 若者がUターンする環境をつくらなければならなかった。
・補助金に頼らない地域づくり。自主財源をもとにしてクリアした。
・石破大臣にやねだんに鹿屋体育大学の寄宿舎をつくることを提言している。
※他6名の方が事例紹介されました
3 事例紹介(計7名)後の石破大臣のコメント
・(会場の参加者に対し)今日の話を持ち帰り、地域や職場に広めてほしい。
・行政が動かないからとか、成功事例の中には有能なリーダーがいたからとか、理由をつ けるのでなく「うちの地域でもできるのではないか」と思ってもらうこと。地方創生は国 民運動的なものである。大きな流れとなるようにしたい。
・地方の大学の役割は大きい。地方大学は地方に役立つ学問をすべき。 ・規制緩和し、地方に権限をゆだねることをしていく。
・行政職員の中には、優しいことを難しく表現して満足する人がいる。行政サービスとは、 むずかしいことをわかりやすく伝えること。
・商店街の空き店舗対策などで問題となるのは、所有権をどうするかということ。所有と 経営を整理しなければならない。
・今日の事例発表された方々には、国会に参考人として招へいしたい。今後もご協力いた だきたい。みなさんの話を国会でしていただくことで、国会議員に「気づき」が生まれる と確信している。